【タスクシフトと薬剤師】これからの薬剤師のありかた

タスクシフトの背景

働き方改革が推進されるなか、深刻な長時間労働が改善されていない医師の世界。

医師の長時間労働の原因として下記が考えられています。

  • 救急搬送を含め診療時間外に診療が必要な患者や、所定の勤務時間内に対応しきれない長時間の手術、外来の患者数の多さ
  • 応召義務の存在
  • タスクシフティングが十分に進んでいない現場の勤務環境
  • 求めに応じ質の高い医療を提供したいという個々の医師の職業意識の高さ

医師の健康確保の観点からも医師の働き方改革が進められようとしています。

そこで具体的な対策としてタスクシフト、タスクシェアが推奨されています。

タスクシフトとは

医師が担当している業務を看護師や薬剤師など他の医療従事者に移管することです

医療が高度化するにしたがい医師にのし掛かる負担は増す一方。

医師の負担軽減のため、各医療従事者が各々の専門性を活かした活躍をすることが求められています。

タスクシフトと薬剤師業務

タスクシフトにおいて薬剤師に求められていることは非常に大きいです。

薬物療法の主体として貢献することが求められています。

薬剤師に求められる内容として下記があげられています。

  • 処方薬の変更・他院持参薬の処方
  • プロトコルに基づいた投薬
  • 手術室関連の業務支援
  • 処方確認・処方変更・処方提案
  • 抗菌薬の選択
  • 患者指導・支援

入院時にアレルギー情報や服用薬の確認をしたり、処方薬の効果、副作用のモニタリングをすることが求められます。

また、手術室での薬剤管理や術前の休薬確認、術後の疼痛コントロールなど周術期での関わりも求められています。

今後は薬物治療において薬剤師の存在意義と責任が増すことが予想されます。

入院前から退院まで薬剤師はタスクシフトの鍵となります。

PBPM

平成 22 年 4 月 30 日厚生労働省医政局長通知(医政発 0430 第 1 号) 「医療スタッフの協 働・連携によるチーム医療の推進について」が発出され、

薬剤師をはじめとする各種医療 スタッフの積極的な活用が推奨されました。

薬剤師を積極的に活用することが可能な業務として

「薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・ 薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じ て、医師等と協同して実施すること」

が記載されています。

これを受け、医療の質向上や効率化 を目的に、病院薬剤師が新たなチーム医療を実践し始めています。

日本病院薬剤師会では、

医師・薬剤師などにより事前に作成・合意されたプロトコールに基づく薬物治療管理 ( Protocol Based Pharmacotherapy Management :PBPM ) の実践を推奨しています。

米国では Collaborative Drug Therapy Management ( CDTM )として、医師と薬剤師が特定の患者に対する治療に関し契約を締結し合意されたプロトコールに基づき薬剤師による薬物治療を管理。

米国ではこうした契約が法的に認められているのに対し、日本ではそうした法的な仕組みはありません。

PBPM は、薬剤師に認められている現行法の業務の中で、医師と合意したプロトコールに従って薬剤師が主体的に実施する業務を行うことを意味します。

PBPM の実践により、薬剤師の専門能力に基づく薬物治療の高度化や安全性確保、医師の業務負担軽減などが期待できます。

また、診療所の医師や薬局の薬剤師などが 地域医療に PBPM を導入することにより、薬物療法の適正化や、患者の利便性の向上を達成することができると考えられています。

今までのように調剤室で薬を作るだけではなく、専門的な知識を活かした活躍が期待されています。

薬剤師の負担増加

薬剤師の活躍の場が増え、医療が円滑に進み良いことだらけに見えますがそうではないですよね。

薬剤師の負担は増します。

  • マンパワー
  • 知識、経験不足

まず、薬剤師のマンパワー不足に注意しなければいけません。

医師の仕事を引き受けるわけです。

普通に考えてその分が薬剤師業務に追加となります。

医師の働き方改革のために薬剤師が残業だらけでは本末転倒。

皆にプラスとなる改革でなければいけません。

そのためにも、今ある業務を徹底的に分析し見直す必要があります。

時間には必ず、そしてマンパワーにも制限があることが多いです。

そのためには現状の業務を見直し、効率化や省略を考える必要があります。

調剤ロボットの導入なども試みている施設もあります。

そして

薬剤師の知識、経験。

これはすぐにどうこうなるものではありません。

調剤しかしてこなかった薬剤師にいきなりワーファリンコントロールや病態を考慮した処方提案なんてできないです。

ここの教育は焦らずしっかりと行う必要があります。

可能であれば医師や看護師の協力も得て病院全体でボトムアップ、知識の共有を行うことが求められます。

まとめ

これからの薬剤師のあり方が大きく変わろうとしています。

薬剤師は薬物療法に今まで以上に知識と責任が求められます。

しかし、これは薬剤師としてはあるべき姿にやっと近づく大きな変化です。

医師の負担軽減のためとはいえ、

薬剤師の可能性が広がることは薬剤師の未来のために待ちに待ったチャンスです。

この波に乗り遅れないように組織の改革、そして自己研鑽を怠らないようにしましょう。

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