心電図が読めることのメリット
- 格好いい
- 病態把握
- 催不整脈作用のある薬剤の評価
- 抗不整脈薬の効果、副作用評価
- 抗不整脈薬の選択
それぞれ順にみていきましょう
格好いい
心電図読めたら格好よくないですか?

そんな単純な理由⁉️
正直始めるきっかけはそんなもんでいいと思います。
私が心電図に興味を持ったきっかけは先輩に読める人がいて医師と心電図みながら協議している姿が格好いい!
自分も読めるようになったらいいなということでした。
病態把握
心電図が読めると患者の病態理解が深まります。
もちろん心電図だけでなくバイタルやフィジカルアセスメント、レントゲン写真、エコーなど組み合わせて評価しますがそこに心電図がないと正確な評価は難しい。

そんなの医者がしてくれるんじゃ
医師に聞けば分かるかもしれませんが、すぐ聞けるとは限らないし、それまでに自分なりの評価と次の一手を考える必要があります。
その心電図が緊急度の高いものかも判断できるようになります。
頻脈が興奮による洞調律の頻脈か心房細動なのか
胸の痛みを訴えてSTが上昇しているか、鏡像変化はどうか
一過性意識消失の原因は心房細動から洞調律に移行時のpauseだったのか
なんて分かると患者に何が起きているのか理解でき、医師や看護師と協議することができます。
全く心電図の知識がないと何言ってるのか理解できません。
心電図は読めなくても不整脈の基本的知識だけは身に付けておく必要はあると思います。
催不整脈作用のある薬剤の評価
副作用に催不整脈作用を有する薬剤は多いです。
抗不整脈薬による催不整脈は非常に多いですがそれだけでなく
QT延長からの多形心室頻拍
利尿剤による電解質異常からQT延長なんてのもあるため薬と心電図は切っても切れない仲なんです。
抗不整脈薬の効果、副作用評価
不整脈が出たら薬を開始してそれで終了!
なんてことはないです。
降圧剤だって飲んだら血圧がちゃんと下がっているか適正血圧か、フラツキはないか確認しますよね。
抗不整脈薬も同じです。
きっちり評価しないと意味ありません。

血中濃度測ればいいんじゃない?

今までも読めなくてもなんとかなったんだし医者がすればいいでしょ
心電図が読めなくてもバイタルや動悸などの症状から効果、副作用は評価可能です。
血中濃度測定も有用でしょう。
しかし、充分ではありません。
症状が出なくて血中濃度基準範囲内でも副作用を起こすことは稀ならずあります。
QTが延びていないか
QRS幅は拡大していないか
房室ブロックになっていないか
心電図を見ないと分からないことがいっぱいあります。
医師が一番最初に見つけることもあるでしょうがタイミングによっては薬剤師が一番最初にモニター心電図に目にとめるかもしれません。
でも分からないからそのまま素通り。
心電図を読めないと何か起きてからしか対応できないかもしれません。
心電図が読めるだけで早めに対処できて患者が何があったのかさえ分からない間に解決できていることもあります。
抗不整脈薬剤副作用開始前から怪しい心電図であれば予め注意して量を減らしたりリスクの低い薬剤に変更することだってできます。
今までは医者がしていたので薬剤師には必ずしも必要でなかったかもしれません。
しかし、今後はタスクシフトが今まで以上に活発になることが予測されます。
薬の専門家として薬物療法に薬剤師が積極的に参画することが求められています。
不整脈関係だって例外ではありません。
難しすぎることは分からなくても最低限チェックするだけで一気に出きる範囲が広がります。
抗不整脈薬の選択
心電図が読めて抗不整脈薬の特徴が分かれば、薬の提案だってできるようになります。
今までも

心房細動止めたいけど何使ったらいい?腎臓悪いんだ。
こんな質問に抗不整脈薬の提案をしていまかもしれません。
でも心電図が読めるようになると、
この患者は普段からQT延長ぎみだな、ときどき房室ブロックもあるみたいだ
なんて見えてきて提案の仕方や副作用モニタリング、看護師へのフォローのお願いなんかも変わってきますよね。
単なる腎機能の悪い心房細動患者ではなくなってきます。
体験談
私は日常的に心電図を用いて薬剤効果、副作用のモニタリングに活用しています。
抗不整脈薬服用中でな異常がないかはモニター心電図の前を通る度に確認するようにしています。
それに不整脈患者への薬剤提案も行います。自分が提案するからいつも以上に慎重に選択評価、効果と副作用のモニタリングもおこなっちゃいます。
心電図読めてて役立ったと感じた例を少しあげると
- 心房細動でない患者に心房細動として抗凝固薬が投与されそうになって回避
- 高度房室ブロックのある患者(ペースメーカー挿入なし)へのβ遮断薬投与回避
なんてのがあります。
心房細動疑いの例では、

◯◯さん、心房細動みたいだから抗凝固何投与したら良いかな?
という相談を受けて、心電図をチェック。
機械が心房細動と評価しているが、どう見ても心房細動ではない。
念のため循環器の医師にも見てもらい心房細動でなく抗凝固薬は不要との判断。
主治医に伝えて抗凝固薬の投与を防ぐことができました。
β遮断薬の例では、確かに心保護効果のために大事ですが高度房室ブロックにβ遮断薬は禁忌です。ペースメーカー挿入もしておらず防げて良かったです。
まとめ
心電図が読めると薬物療法の効果、副作用モニタリングに役立つ。
今後、タスクシフトにより薬剤師に求められるスキルも幅も広がるため心電図も活用する必要がある。
難しく考えず気楽に始めてみましょう
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