
病棟薬剤師の魅力を徹底解説!
薬学生に人気の就職先として病院があげられます。
決して待遇面が良いとは言えない病院薬剤師を選ぶのですからそこには大きなメリットが潜んでいるはず⁉️
病院に就職することを希望する薬学生に話を聞くと、病棟業務やチーム医療に興味を持つ人も多いようです。
今回は薬学生にも人気の病棟業務についてみていきましょう。
病棟常駐薬剤師とは
病棟に専任の薬剤師が常駐し、入院中(必要時は入院前後も)の患者に対して薬学的ケアをおこないます。
病棟常駐加算の設立もあり病棟における薬剤師の働きが見直されてきています。
業務内容
- 持参薬鑑別
- 服薬指導
- 処方内容確認
- 病態把握
- 回診、カンファレンスへの参加
- 処方提案
- 薬の効果、副作用モニタリング
- TDM
- 他職種からの相談応需
- 退院時指導
- 急変時対応
持参薬鑑別
普段使用している薬剤内容の確認、服薬状況、適切な投与量か、ハイリスク薬はあるか、どの副作用に注意するか、薬が入院の原因でないか。
などを確認します。
服薬指導
新規で始まる薬や現在飲んでいる薬について患者に説明、指導を行います。
特に最初の指導が大切ですが、一度説明しても患者が忘れていることも多いです。
理解できていると判断できるまで繰り返し説明します。
自己中断のリスクなども説明します。
処方内容の確認
患者の状態に応じて必要な薬が処方されているか
処方が継続して出されているか
相互作用はないか
患者の訴えが薬による副作用のせいではないか
などを確認します。
病棟常駐していると受け持ち患者の処方内容はカルテをみなくてもある程度把握できるようにします。
病態把握
患者の訴えを聞いてバイタルやフィジカルアセスメント、各種検査や処方薬を総合的に判断して病態把握を行います。
この際に薬剤師だけで得られる情報には限界があるため、
医師や看護師、リハビリスタッフなどにも話を聞いて評価します。
病棟で薬物療法に参加すると一つ一つの行動がチーム医療に繋がります。
回診、カンファレンスへの参加
医師の回診に参加することで、より詳細な病態把握に役立ちます。
術後の創の状態や現在の全体の状態、今後の方針などもわかることがあります。
また、回診時に医師からレクチャーして貰えることもあるため目の前の患者の病態把握に加えて今後に活かせる知識を得ることができます。
カンファレンスに参加することで、
関わる医療スタッフ全員で情報を共有し問題点や今後の方針などを確認していきます。
処方提案
病態把握した結果、
「この薬は減らすべきだ」
「β遮断薬を追加した方が良いかも」
などの提案を行っていきます。
医師との信頼関係を構築するほど処方提案は通りやすくなります。
そしてその分、やりがいと責任は大きくなります。
薬の効果、副作用モニタリング
薬は処方して終わりではないです。
飲んでちゃんと効果があるか、副作用は出ていないか確かめないといけません。
病棟にいるからこそこまめに評価できます。
病態把握を行います。
特に自分が薬の変更を提案したのであれば尚更注意して頻回に評価する必要があります。
提案だけしてそれで終わりでは患者のためにならないし、他のスタッフからの信頼もついてきません。
自分自身のスキルアップのためにもしっかり患者と薬と向き合って経験を積みます。
次回以降の注意点なども見えてきます。
TDM
血中濃度モニタリングも行います。
バンコマイシンだけでなく、抗てんかん薬や抗不整脈薬、テオフィリンなど必要と考えられる薬剤の血中濃度測定を提案。
結果をもとに病態も踏まえて自らの見解を出して医師に提言します。
値だけにとらわれずに全身をみることも大切です。
他職種からの相談
病棟にいると医師や看護師をはじめ多くのスタッフから相談を受けます。
医師からは抗菌薬や持参薬の代替、病態のの相談など。
看護師からの相談は非常に多く、せん妄や不眠を中心に1日数十件の対応をすることも。
栄養士からは電解質異常があるけど薬の影響はあるか
リハビリスタッフからは血圧が低くてふらついているけど薬が変わったのか
ソーシャルワーカーからは持参薬から見える入院前の服薬状況や入院中の服薬管理など
病棟に常駐していなくても薬剤部に相談されるでしょうが、相談する側としては敷居が高くなります。
その点、病棟にいるいつものメンツであれば気軽に何でも相談してくれるようになります。
相談に乗る中で信頼が確立され、チーム医療における薬剤師の地位も固まります。
薬剤師が必要なときだけ一方向に声をかける間柄では良好なチーム医療は行うことが難しいです。
お互い相談に乗って話し合うことが大切です。
退院時指導
入院中だけでなく退院後にしっかり薬を飲んで再発を予防することが大切です。
治療以上に予防が大切です。
入院前との薬の違いを説明し、必要に応じて家族にも説明を行って退院後の服薬アドヒアランスの向上を目指します。
お薬カレンダーの導入も検討して貰います。
急変時対応
病棟にいると
○○さんが急変!
という場面に出くわすことがあります。
調剤室にずっといても気づかないことが多いです。
すぐに薬剤師がけつけることで適切な薬物療法を急変時にも実践することができます。
病棟業務の魅力
私は最初、薬剤師になったころは薬剤師が治療に関わるっていう感覚が良く理解できていませんでした。
チーム医療もいわれ始めていたけど結局何をするのか、どのように活躍するのか漠然としていました。
しかし、先に示した業務にしっかり向き合うことでその一つ一つが薬物療法への参加となっています。
医師、看護師、栄養士、リハビリ、その他もろもろのスタッフから信頼されて自信の要望にも応えてくれる。
皆で一緒に患者の治療、退院後を見据えた連携を行う一体感はやみつきになっちゃいます。
多くの症例を身近で見て治療方法を学ぶことができますし、一つ一つの意図を教えてもらいながら勉強していくことができます。
治療方法や処方意図を医師や看護師から直接まなぶことができ、その効果を間近でモニタリングできることは病棟薬剤師の最大のメリットかもしれません。
調剤薬局ではなかなかこの経験ができないですが病棟薬剤師は毎日複数の提案をしてそれを毎日モニタリングしているため多くの経験を積めます。
病棟で活躍しようとすれば必然とチーム医療に関わることになります。
このように、病棟薬剤業務を行うことで病院薬剤師の魅力を存分に満喫することができ、幅広く深く治療に関わることができます。
病院への就職を考えているかたの参考になれば嬉しいです。
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