病棟薬剤師の仕事内容
病棟薬剤業務実施加算の改定からもわかるように、チーム医療が進展していく中で薬剤の専門家である薬剤師に求められることは増えてきています。
下記に一部を記載していますがもっともっとあります。
- 持参薬鑑別
- 病棟配置薬管理
- 薬効、副作用確認
- 処方支援
- 積極的な薬剤追加、変更提案
- 処方変更への迅速な対応
- 他の医療スタッフからの相談応需
- 配合変化、相互作用確認
- ポリファーマシー
- カンファレンス参加
- 退院後の調剤薬局への情報提供
- 急変患者への対応
- etc.
病棟薬剤師の仕事は多岐に渡ります。
今回は持参薬鑑別について実際の経験を踏まえて説明します。
持参した薬、薬手帳からどの薬剤をどれくらい飲んでいるのか、残数は適正かなどをチェックします。
持参薬あるある:困った編
- デパートの紙袋いっぱいの薬
- 複数の薬を一つ一つ切ってごちゃ混ぜにしている
- 薬手帳も薬剤情報もなし、刻印もなくて無地で何の薬?
- 紹介状と中身が違う
- 採用なし、代替薬もない
- 禁忌の薬…、過剰量…
- 汚い…
どれも非常に困ることばかりです。皆さんも経験したことがあるのではないでしょうか。
私が一番苦労した持参薬は高さ1メートルほどの紙袋三つで持参!現在飲んでいないものも持ってきていましたが錠剤は全て切ってごちゃ混ぜ状態の合わせ技。薬剤名と数のチェックが全然終わらない…泣きそうになりました。
それ以外にも紹介状と中身が違うなどは良くあることですよね(^_^;)
禁忌の薬剤を服用していたり、明らかに過剰量を飲んでいる、逆に足りない、飲んでるはずなのに飲んでいないなどもありますね。
糖尿病患者にクエチアピン、透析患者にDOACなど。見つけたときは悲しくなります、そして副作用出ていないか猛チェックと代替薬提案。
過剰量はもっと頻回に遭遇します。腎機能の悪い小さなお婆ちゃんに腎排泄の薬剤を常用量で投与。良く見ます。これまた副作用が出ていないか猛チェックですね!後述しますが中毒症例も時々見かけます。
逆に飲んでいなければいけないはずの薬を飲んでいないことを発見などもあります。PCIのため予定入院した患者が調剤薬局に薬をもらいに行っておらず抗血小板薬を飲んでいなかった→医師に報告して入院キャンセルして後日再入院などもありました。
持参薬が汚れていることも頻繁に遭遇します。この前見た持参薬は薬が入っているビニール袋にゴキブリの死骸が…机にダニも歩いていました。特に綺麗好きというわけではないですが叫びそうになってしまいました。それにインスリン使用患者で多いのですがインスリンバッグや周囲に血がこびりついている。インスリンがある持参薬や明らかに汚い持参薬では手袋必須、アルコール消毒の徹底を心がけています。
持参薬鑑別の意義
こんなことがあると持参薬鑑別が嫌いになってしまいそうですが
もちろんとても大切な仕事なんです!
何の薬を飲んでいるか
規格は何か、採用はあるか
複数の医療機関から重複処方されていることも稀ではありません。
薬手帳や紹介状にもない薬を飲んでいることがあります。院内調剤している病院では薬手帳や薬情を発行していないところも多くあります。
この前来た患者は海外から取り寄せた医薬品を飲んでいました。結構います。便利になる一方で多くの問題も顕在化してきていますね。
持参薬鑑別によって主症状の原因が判明したり、元の疾患を推測できるなどメリットは大きいです。。
時には過量服用(処方)が原因の中毒であることもあります。
抗不整脈薬が適切な減量なく投与され続けQT 延長、最悪な場合には心肺停止などもあります。
傾眠の原因が泌尿器の薬による中毒からの意識障害である可能性も疑いコリンエステラーゼ測定依頼、アトロピンの投与を提案して改善することもあります。
持参薬鑑別は薬剤師にたくさんのヒントを与えてくれます。
薬剤師しか気づけないポイントもたくさんあるため気が抜けません。
まとめ
持参薬には患者の病態を紐解く多くのヒントが隠れていることがある。
薬剤師にしか気づけないポイントがたくさんある。
正直めんどくさいところもある持参薬鑑別ですが時々隠れているお宝情報をハイエナのように探しにいきましょう!
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