・病棟って看護師がこわいイメージ
・どうやったら上手くいくの?
病棟薬剤業務実施加算の開始、改定により病棟で薬剤師が活躍している、もしくは検討している施設も増えてきていると思います。
しかし、
いざ病棟に行ってみたら蚊帳の外であったり疎外感を感じたことはないでしょうか?
私は病棟担当薬剤師として10年ほど活動してきました。
はじめは失敗も多くへこむ日も多かったですがコツをつかめば上手く立ち振舞うことができるようになりました。
受け入れられたらあとは楽なので最初は特に注意していきましょう!
病棟で薬剤師が生きていくコツ
なにより先に看護師の心を掴む!
“えっ、医者が先でしょ?”
“それより薬剤師として薬のことだけ考えていればいいよ”
甘いです。
そもそも
病院のスタッフの大半を占めているのが看護師です。
病棟という狭い空間でいえば看護師の天下と言っても過言ではありません。
医師ですら病棟で上手く立ち回ろうと思ったら看護師の機嫌を損ねないように、細心の注意を払っています。
“薬剤師として頑張っていればいつかわかってくれる”
それは確かにそうだと思います。
間違っていないし大切な姿勢です。
でも病棟に受け入れられるまでにはかなり時間を要すでしょうし、
どのみち薬剤師が病棟で活躍しようと思ったら看護師の協力は不可欠です。
どうやって心を掴むか
看護師が困っていることを解決
大なり小なり多くの悩みや改善点があります。
- 注射薬の配合変化
- 患者への配薬
- 内服カレンダーやカートへのセット
- 薬の一包化、粉砕
- 薬のオーダーが遅い
- 処方切れの確認
- せん妄患者への薬学的介入
- 疼痛コントロール
- etc.
看護師は多くの業務を負担しており薬剤師が手助けできることはとても多いんです。
中にはプロトコルの作成や薬剤部の運営から変えないといけないものもありますが、検討する価値はあります。
患者への配薬やカレンダーへのセットを看護師が行っている施設も多いと思います。
しかし、薬剤師が行うことで単に看護師の負担軽減になるだけでなく、重複予防やいつ処方が切れるかの確認も出来るメリットがあります。
看護師は内服、注射ともに扱うのですがやはりかなりの神経を使っているためより把握している薬剤師が関与するのは大変ですがオススメです。
薬の一包化、粉砕も看護師の負担軽減だけでなく飲み間違い防止や誤嚥予防にも有用です。
プロトコルの活用
定期処方やその他オーダーをプロトコルのもと行うことは医師の負担軽減目的も大きいですが看護師、薬剤師にもメリットが!
医師がなかなか薬を出してくれないとツケが遅出や夜勤の看護師に回ることになります。
もしくは日勤の看護師が残業する羽目に。
それが定期処方であれば大人数の患者分になりますし、定期処方でなくても大量になることは良くあります。
そこで薬剤師が定期処方であったり持参薬の継続分などを早めに代行オーダーすることで薬剤師も余裕をもって調剤でき病棟では看護師や薬剤師が残業をすることもなくなります。
処方切れも理由は同じです。あとは処方切れのリスクをお互いでカバーします。
不眠やせん妄は看護師をおおいに悩ませます。
夜間はスタッフが少なくただでさえ大変な業務に加え薬の相談ができないから不安になりながら薬を選んで渡しているいう悩みを耳にします。
看護師が困ってるから何でも薬で眠らせるというのは間違いですが、患者も慣れない環境で眠れないのはストレスですしせん妄の原因になります。
せん妄はきちんと対応しないと治療に影響が出ることも多いですし予後の悪化にも関係することが報告されています。
医療者だけでなく患者にも負担がかかるためプロトコル作成なども行い積極的に介入していきましょう。
不眠、せん妄、疼痛コントロール含めた薬物治療への介入はチームとして薬剤師が活躍する上で要となります。
患者や医師、看護師、その他医療スタッフの声に耳を傾け一つ一つ解決することは薬剤師の存在意義を認めて貰えることにつながるため必ず真摯に向き合いましょう。
このように薬剤師の働き方次第で看護師の負担軽減につながることは多いですし、
自分達にとって有用だと思う存在(薬剤師)を受け入れないはずはありません。
もちろん、偉そうな態度を取るとかは言語道断です!
どんなに有用であっても受け入れられることはないので謙虚さは忘れないでくださいね!
挨拶や申し送りなど社会人として求められることは当たり前に行ってください!
ちなみに
小細工かもしれませんが
私は学会などで遠出したときは必ず病棟に手土産を持っていきます。もちろん人数分は必ずあるようにしましょう。
そんなことって思うかもしれませんが人の物欲(食欲)とは恐ろしいもので
今まであまり話したことがない看護師さん含め続々と土産のお礼を満面の笑顔で言われたときにはそんなに効果あるっ⁉️って怖くなったくらいです。
今では学会前に妻と看護師さんに喜んで貰えるお土産リサーチを欠かしません。
病棟に受け入れられるメリット
これだけ聞くと何故そこまでする
薬剤師の誇りはないのか
自分はそんな媚は売らん!
という意見もあるかもしれません。
しかし、看護師を味方につけることで
病棟で薬剤師が職能を発揮できるようになります。
血中濃度測定やこまめなバイタル確認依頼など。
処方変更の提案をしたとき自分が毎日24時間フォローするなんて無理ですよね?
結局看護師にお願いすることが多いんです。
そして
この頃流行りのバンコマイシンの二点採血なんて本当に看護師の協力なくして行えないです。
関係を築いていないと
なんでそんなめんどうなことっ!
薬剤師が来るようになってから余計な仕事が増えただけ!
なんて声が聞こえてくるでしょう。
もちろん、患者のためなんだからそんなごちゃごちゃ言わないでやれよって思う気持ちもわかりますが結局看護師の負担は更に増えているのも事実です。
そのため
薬剤師が積極的に薬物治療に関わろうと思ったら、
まず薬剤師が看護師の負担を減らしてあげる、その分の労力の少しを薬剤師に還元してくれませんかっというわけです。
ここまで関係を築けば必ず味方になってくれる看護師さんが現れますし、全体としても反対意見は少なくなります。
逆に看護師に反感を買いながらの薬物療法への介入はまず失敗すると思ってください。
冒頭でも述べましたが、医師ですら看護師の機嫌を伺いながら仕事をしているのが現状です。
「看護師にいいようにさせるか!」
なんて変な戦いを挑まないでください。
そもそも圧倒的に人数で負けてるので協定を結ぶ方が利口です。
薬剤部にも病院にももちろん患者にとっても利益のある協定内容にこぎつけましょう。
デメリット
お気づきのとおり薬剤師の仕事量は増えてしまいます。
医師や看護師の代わりに仕事を引き受けているためそうなりますね。
薬剤部にとって無理のないところから少しずつ変えていきましょう。
その変化がいずれ薬剤師の手助けになるはずです。
まとめ
薬剤師が病棟で活躍するためには看護師の協力が必要です。
何か困っていることはないかアンテナを張り巡らせ、一つ一つ解決していきましょう。
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